国内に約100万人の患者がいるとされるてんかんは、数千年の歴史を持つ慢性疾患で「脳を持つ動物なら発症する可能性がある」病気だ。脳神経に起因すると判明したのは19世紀。原因不明の時期が長く続いたことから「遺伝する」「感染する」などの誤解が生まれ、ハンセン病患者らと同様に差別や偏見にさらされてきた。
世界保健機関(WHO)によると、英国では1970年までてんかん患者の結婚が認められず、米国でも州によっては80年代までレストランへの立ち入り禁止や子供を産ませない手術が施される例もあった。
医学の発展により、現在は薬の処方や手術などで患者の約7割は発作を抑制して普通の生活を送ることが可能となっている。それでも、雇用する側の知識不足を背景に、病名を告知すれば就職などの際に不利益を被る事例が後を絶たない。
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